「生徒に教えるばかりで、自分の練習が思うように進まない」
「本当はもっと弾きたいけれど、人前で弾くのは怖くなってしまった」
日々、レッスンに情熱を注いでいる先生方の中に、そんな想いを抱えている方はいらっしゃいませんか?
かつて学生時代、コンクールや試験のプレッシャーの中で、私たちは必死にピアノに向き合ってきました。期限までに曲を仕上げるため、時には「力技」で鍵盤をねじ伏せるように練習したこともあったはずです。
でも、その時の「戦う記憶」がトラウマとなり、今でもピアノの前で、構えるだけで無意識に肩が上がり、体が硬直してしまう……。それは、あなたが真面目に音楽と向き合ってきた証拠でもあります。
ヴァイオリンのように、奏法も「着替える」もの
ここで少し、ヴァイオリンの世界を想像してみてください。
子どもが成長するにつれ、楽器は1/4、1/2、4/4と大きくなっていきます。奏者はその都度、体格に合わせた微調整を学び直しますよね。
ピアノはどうでしょうか?
楽器のサイズは変わりませんが、私たちの体は年齢と共に変化します。
10代の頃の「勢いと筋力」で押し切る奏法を、今の私たちがそのまま続けていたらどうなるでしょう。先日、ある先生が「発表会の講師演奏の練習で、腕がパンパンになって長く練習できない」とおっしゃっていました。
厳しいようですが、もし先生が痛みや不調を抱えているなら、その「いつか弾けなくなる弾き方」を生徒さんにも伝えてしまっているのかもしれません。
「力技」から「自然体」への研究
私自身、学生時代は力任せに弾いていた時期がありました。でも、自分の出す音の不自然さが嫌になり、そこから「どうすれば力を抜き、自然な音を響かせられるか」を徹底的に研究してきました。
その結果、年間20回以上のステージをこなしながら、今が一番「自然体」でピアノを奏でることができています。
教えることは、学ぶこと。
先生自身が、今の自分に合った「楽で自然な弾き方」を見つけることは、生徒さんに「一生ピアノを友にする方法」を背中で見せることでもあるのです。
まずは、自分を「解放」することから
もし今、あなたがピアノを前にして身構えてしまうなら、まずはその頑張りを一度手放してみませんか?
無理に指を動かす前に、椅子に座って深く呼吸をし、楽器と自分の体の対話を楽しむ時間を作ってみてください。
先生が軽やかに、楽しそうに弾く姿。
それこそが、生徒さんにとって最高の「模範」なのですから。




